歴史と現代の架け橋

およそ100年前に茶道を主とした趣味の空間として建築され、時を経て母屋に残る当初の質感を崩すことなく、快適性を求め現代風にアレンジされた京町家。

場所は今出川小川通をほんの少し上がったところ。両サイドをマンションに挟まれてますが、そのお陰で存在感が強調されている様に思えます。前道の小川通も一方通行の割に比較的ゆったりとした道幅なので、あまり窮屈な印象はありません。

建物は大まかに言うと通りに面する「母屋」と奥に「離れ」といった構成です。母屋は主に芸事にも使われてたという事で各所の造作や設えがとても良く、またそれが大切に保たれている点が何より。とはいえ、キッチンなど水回りはきちんと現代のものに改装されているので不便を感じることなく過ごせそうです。（洗濯機置き場は外部になります）

敷石の敷かれた立派な玄関土間から始まる厨子二階の母屋は和室が3間、その横に台所、そして隠し階段といったベースは当初のまま残されてます。ただ火袋部分は恐らく台所改装時に塞がれてしまったのだと思います。それでも来客があった際に目に触れる部分に関しては丁寧に維持・保存されていて、炉の切ってある奥の間で腰を下ろし雪見障子越しに眺める中庭は何とも言えぬ趣があります。

その中庭を傍目に少し長めの渡り廊下を渡ると、当初は茶室が2間だった離れに辿り着きます。現在はより快適さを求め現代の建物に建替えられ、1階にリビングダイニング、2階に1室という配置になってます。建替えられたことにより、建築物としても趣は無くなってしまいましたが、大きな掃出し窓の向こうには立派な庭が残されているので、また母屋とは異なるひと時を過ごせるのではないでしょうか。

用途としては、基本的には住居希望ですが、手を加えず現状のままで母屋でお華やお茶の教室をしたり、簡単な物販程度であればご相談出来る可能性があります。

丁寧に守られてきた歴史深いこの建物を、これからも大切に引き継いでいただける方に是非。