緑や水辺を感じられる環境の中で暮らしたい方に向けて、「賀茂川周辺」エリアをご紹介。
「賀茂川」エリアになると、川岸の幅も広くなって、緑が溢れる。 鴨川→賀茂川で、住環境も変化する
京都を代表する景観である「鴨川」は、実は「賀茂川」と「高野川」という2つの川が合流してできている。京阪電車出町柳駅付近でひとつになり、そこから南を流れる川を指しているのだ。
僕が京都で住むのにおすすめしたい一帯のひとつが「賀茂川」沿いである。同じ川沿いでも鴨川→賀茂川で、住環境もガラッと変化する。
エリアの詳細を示した地図(上)と、京都市の俯瞰地図にエリアの場所を落とし込んだもの(下)。賀茂川は京都の北区と左京区の間を流れている。(画像 ©2016 Google、地図データ ©2016 Google、ZENRIN) 「鴨川」周辺は街中なのでマンションやビルが川際まで建っていて、ちょっと人目が気にならなくもない。が、「賀茂川」になると、両岸に大きく高い街路樹が建ち並んでいて視界から建物が消える。街や車の喧騒も薄れていき、たっぷりの緑に囲まれる。
僕は学生時代に上賀茂神社よりさらに北のエリアに住んでいて、自転車で出町柳付近にある大学に通っていたから、思い思いに「賀茂川」で過ごす人を見てきた。春には花見をする人たちがいて、夏には上半身裸で日光浴をしている人もたくさんいる。(まず京都の他の地域でそういう人は見ない!!)川に入って水遊びする小さな子どもを見かけるのも決まって「賀茂川」の方だ。
京都の中心部を流れる「鴨川」沿いの風景。川岸までびっしりと建物が並んでいる。 「賀茂川」周辺をいくつかのエリアに分けて説明
この辺りの地域的特徴がわかるように、いくつかに分けてみることにする。賀茂川に加えて、府立植物園や糺ノ森(下鴨神社)といった身近な自然を普段の生活に取り入れられるところが魅力だが、街の雰囲気や住んでいる人の傾向は賀茂川近所でも少しずつ違っている。
前出の地図を元に、暮らし方が違うエリアを分けてみた。 (1)出雲路エリア
洛中洛外を行き来する入り口に「●●口」という地名が使われた。このエリアには市営地下鉄鞍馬口駅がある。そのことからもわかるように歴史が古い。
細い路地もあり、子どもからお年寄りまで、昔からの住人が静かに暮らしている。近所には大学もあり、京都市営地下鉄と京阪電鉄の2つにアクセスできて、自転車で街中にも出やすいので、単身者用のマンションや、戸建ての賃貸物件なんかを見つけやすい。
家のサイズや道の広さなど、下町風情が残っている出雲路。複数の鉄道へのアクセスが良いところが魅力だ。 (2)小山・下鴨エリア
この2つの街は性質が似ているのでまとめて言及しよう。賀茂川を挟んで、西にある北区小山や東にある左京区下鴨と聞けば、誰もが「いいところやねぇ〜」と唸ってしまうようないわゆる高級住宅街だ。
都市計画にのっとって街ができ上がり、大きな家が建ち並び、道も広くて住んでいる人は車の生活をしている。住宅地になった年代がズレているから、建物と街並みの雰囲気は少し違っている。
北区小山では、庭の松が塀を飛び越えるような、立派な御屋敷風の建物が目につくのに対して、左京区下鴨は車が何台も停められるような、大きな築浅物件がある。建物の外観と同じように、住んでいる人の世代も北区小山の方がやや上だ。建物の高さ規定が厳しくなるため、マンションの数は減り、戸建ての売買物件が中心で、賃貸は少ない。
北区小山の日本家屋(上)と、左京区下鴨の大きな戸建て物件(下)。どちらのエリアも広い道に門がある住宅が並ぶが、住んでいる人の年代は少し違う。 ちなみに、下鴨は糺ノ森(下鴨神社の敷地内)という広い緑地がある。世界遺産の森を通りながら毎日通勤・通学、なんて粋なことができちゃう場所だ。京都にはこういう普段使いができる史跡がたっぷりあるのでおいおい紹介していこうと思う。
下鴨神社の糺ノ森。こんな森の中を毎日通る生活ができる! (3)上賀茂・北山エリア
京都の街中とは特に違った雰囲気を持っている街。街としての歴史は最も浅く、1980年代後半からファッションの街として活性化し、多くのアパレルブランドがショップを構えたことから、かつては「京都の代官山」と呼ばれていた。
当時は買い物に来るところだったが、今ではその賑やかさも落ち着いて、ゆったりと子育てしたいというファミリー層に人気の街に変化している。昼間には子どもを連れながらカフェでランチをするお母さんたちを見かけるようなところだ。おすすめは、エリアの中心を走る北山通り沿いの物件で、通りの街路樹と植物園の緑を窓から借景できるのがポイントだ。たまに賀茂川の川岸の賃貸物件なんかも。
北山通りの街路樹。この緑を見下ろせる賃貸マンションがオススメだ。 このエリアには「窓を開ければすぐ賀茂川」という物件も見つけられる。川のすぐそばに建つ賃貸マンション外観(上)。下の写真の右側がもう賀茂川の土手(下)。 今紹介した3つのエリアは、どれも徒歩10分ほどで行き来できるくらいに近接しているが、知らずに歩いているといつの間にか街の雰囲気が変わって「あれ、さっきまでの街並みと歩いている人の感じが違うな」と思うだろう。どのエリアも水と緑をとびきり享受できるが、その範囲の中でも少しずつ暮らし方が違うのが京都の面白いところだ。賀茂川を身近に感じる暮らしをお楽しみください。
賀茂川周辺の物件情報
・せせらぎと緑を取り入れる
・白壁と借景の相性