じんわり、いい部屋

どこかかわいらしくて、素朴で、昔ながらの雰囲気が漂うマンション。レトロな外観に、さりげない魅力があって、建物の前を流れる疎水もこの場所の印象をやわらかくしてくれています。中心部近くでありながら、ふと足を止めたくなるような静けさがあり、ゆったりとした時間が流れているような感覚。

今回ご紹介するのは、南向きの角部屋。窓からはやわらかな光が入り、視界の先には電線越しながらも抜け感があり、空の広がりを感じられます。さらに角部屋であるこの住戸だけ、ベランダ側の視界が抜けていて、より開放的に感じられるのもポイントです。

室内は白い壁と明るめのフローリングで整えられており、シンプルながらすっきりとした印象。外の音も気にならず、静かに落ち着いて過ごせそうな空間でした。ベランダには出窓のようなガラスで囲われたスペースがあり、サンルームのような使い方も可能。植物を育てるのが好きな方には、ちいさな温室のような場所になるかもしれません。なお、洗濯機置き場は外に設けられており、こちらも昔ながらの名残を感じさせるつくりになっています。暮らしの中に、やわらかな余白があることの心地よさを感じられると思います。

築年数はしっかり経っているものの、共用部の管理が行き届いていて、エントランスや階段まわりには落ち着いた空気感が漂います。何より今までの住人達が愛着を持って丁寧に使ってきたことが伝わってきます。あとエレベーター付きという点も、日々の暮らしを考えると実用的でうれしいポイントです。

場所は京阪「神宮丸太町」駅から徒歩圏内。岡崎公園のマルシェにふらっと出かけたり、鴨川沿いでぼーっと過ごしたり、夜は丸太町の飲み屋街で一杯、なんて日常も想像できます。自転車や徒歩でも市内を自由に動けて、京阪に乗れば大阪方面へもスムーズ。にぎやかすぎず、不便でもない、この“ちょうどよさ”がこのエリアならではの魅力だと思います。

実はこの建物、以前から何度か目にしていて、個人的にも「いいな」と感じていた場所でした。疎水沿いのやわらかな空気感や、外観の佇まいにどこか惹かれていて。今回あらためて中に入らせてもらって、その印象が間違ってなかったな、と感じています。
「ここがすごい！」と声高に言うような派手さはないけれど、「なんかいいよな」と思わせてくれる空気感のある建物と部屋。住んでみてはじめてわかる、この場所のやさしさや心地よさが、じんわりと日常にしみこんでくる。そんな住まいだと思います。